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ロシア スターリニズムの建築   Seven Sisters Moscow RUSSIA

ロシアの首都モスクワに《 セブンシスターズ 》 と呼ばれる7つの建築があります。
いずれも1950年前後に竣工し、スターリニズム建築の代表作です。
ロシアがソビエト社会主義共和国連邦の時代、かつスターリンが共産党書記長であり国の最高指導者であった時代、建築は自由に建てられるのではなく、共産主義の優位性、発展と革命の達成、労働者を鼓舞することなどを建築デザインに求められました。
スターリニズムの建築は、国家の権威を強調するため重厚な古典的な様式に回帰しました。
表徴的には、ゴシック・リバイバル調のタワーが天を突き、外壁には聖人や聖獣などの像に変わりに労働者の誇らしげな像が鎮座しています。
当時は世界の建築潮流から逸脱するデザインだったかもしれません。しかし現時点においてスタジオヤマの眼から見ると、歴史的モニュメントとして興味深いものがあります。

 文化人アパート(1945年)
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 ホテル・ウクライナ(1955年) (現 ラディソン ロイヤル ホテル モスクワ)
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 ソビエト連邦外務省(1953年) (現 ロシア連邦外務省) 
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モスクワ大学本館(1953年)
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 ホテル・レニングラード(1953年) (現 ヒルトン モスクワ レニングラードスカヤ)
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 ソビエト連邦運輸建設国家委員会(1953年)(現 ロシア連邦運輸機関建設省)
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 芸術家アパート(1952年)
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黄金の環とロシアビザンチン  Golden Ring RUSSIA

モスクワ(Moscow)の近郊に「黄金の環」と呼ばれている都市群があります。
スーズダリ(Suzdal)、ウラジーミル(Vladmir)、セルギエフ・ポサード(SergievPosad)、など「黄金の環」を構成する各都市は、15世紀末にイワン雷帝が各地を征服し中央集権体制を構築するまで、ロシア諸公国の首都でした。これらの都市は、ロシアの精神文化や建築などにおける源流を形成し発展させその成果を今に伝えています。
「黄金の環」の諸都市には、ロシアビザンチン・スタイルの教会があります。
ローマ帝国が東西に分裂し5世紀に西ローマ帝国が滅亡してからは、ビザンチン帝国(東ローマ帝国)がローマ帝国の正統な後継者を自負していました。国教である正教会は、11世紀ごろにローマ教皇を頂点とするカトリックとは袂を分かち、民族名を冠した独立した正教会として歩み始め、ブルガリア、ルーマニア、ポーランド、フィンランド、ロシアなどに伝えられました。
そしてビザンチンの栄華とともに「黄金の環」の諸都市にも届けられたのです。

ロシア正教会の建築平面は、正方形を基本としています。そのまま壁を立ち上げれば立方体です。さらにその上には一般的に玉ねぎ型が多いドームが載ります。これが形態の基本です。
聖堂の内部は、イコン(聖像)で埋め尽くされた壁イコノスタシス(聖障)により、聖職者の領域である至聖所と、信者が儀礼を執り行う聖所とを分け隔てています。
正教会特有のイコンとは、聖人、天使、聖書における重要な場面や、たとえ話、教会史上の出来事を画いた絵画です。単なる聖堂の装飾ではありません、イコンに対する理解なしで正教会の聖なる空間を読み解くのは困難です
信者とイコンの関係は「日本正教会」の解説が大変わかりやすいので転載します。
(私たちは)イコンそのものを神として拝むのではなく、イコンに描かれたハリストス(キリスト)を崇拝するか    らです(それがマリヤや聖人たちのイコンであれば彼等への敬愛)。難しくいえばイコンの中にある原像を見るのです。やさしく 言えば愛する人の写真に似ています。人は写真を愛するのではなく、写真に写っている彼女もしくは彼を愛します。
光が上方から降りそそぐ聖堂、信者は立ち続けてイコンに向い敬虔な祈りを捧げています。
カトリックなどの聖堂にみられる、縦長の空間の正面にキリスト像などが置かれた祭壇があり、信者は長椅子に座って儀礼を執り行う方式とは、だいぶ様相が異なります。

スパリ・エフフィミエフ修道院  Suzdal RUSSIA
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ポクロヴァ・ナ・ネルリ教会  Vladmir RUSSIA
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トロイツェ・セルギエフ修道院  Sergiev Posad RUSSIA
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ロシア キージ島の木造教会   Kizhi Pogost RUSSIA

ロシアのキージ島は、フィンランドとの国境から200kmほど離れた北極圏に近いオネガ湖に浮かんでいます。長さ約7km、幅500mほどあり、まわりを島嶼で囲まれた細長い島です。
キージ島全体が、木造建築の特別保存地区に指定されています。島にもともとあった木造建築に加えて、各地の教会、礼拝所、農家、納屋、風車小屋など、ロシアの伝統的木造建築が移築され、「キージ島建築野外博物館」となっています。
キージ島の風土も、風景と一体となっている木造教会もたいへん気に入りました。
ただ一つ不満があるのは滞在時間が制限されていることです、キージ島に渡るにはペトロザヴォーツクから高速フェリーで行くしかありません(冬季はオネガ湖が氷結し運休します)、フェリーのチケットを購入すると帰りの便が指定されます、往復の時間を差し引くと正味4時間しか滞在できないのです。また島には宿泊施設がありません、交通機関もありません、スタジオヤマは最後の方は駆け足です。宝の山を眼の前にして去るようでまことに残念でした。
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キージ島にもともとあった三つの建築からなる木造教会群は、キージ島の華というべきでしょう。
プレオプラジェンスカヤ教会は18世紀に現在の姿に再建されました、22本の玉ねぎ型ドームと最上部には高さ37mのドームを持ち圧倒な存在感を誇示しています。
スタジオヤマが訪れたときは、何かの祝祭なのでしょう、聖職者と住民によるセレモニーが厳かに行われていました。また聖堂は修復工事中でした、内部にちらっと見える鉄骨の柱のようなものは仮設なのでしょうか、気になります。
9本の玉ねぎ型ドームを持つポクローフスカヤ教会は、プレオプラジェンスカヤ教会に隣接して半世紀後に再建されました。現役の教会です、聖堂内部のイコノスタシス(聖障)には、ロシア正教会特有のイコン(聖像)が描かれています、信者の方々が熱心に祈りを捧げていました。
さらに19世紀には鐘楼が建立され、ここに160年の歳月を掛けた建築群が完成しました。これらの建築はログ材(丸太)の接合に釘などの金属金物を用いず、ノッチ(欠きこみ)の組み合わせにより強度を確保し自立しています、まさに驚きです。
三つの木造教会群は、デザインの素晴らしさ、それを実現可能にした大工の木材加工技術、施工能力などの高さなど、まちがいなくロシア木造教会の最高傑作でしょう。
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キージ島に移築された教会を観てみましょう。
 ラーザリ復活教会  14世紀に建てられたロシア最古の木造教会建築
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 アルハンゲル・ミハイル礼拝堂
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 救世主礼拝堂
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 三主教礼拝堂

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ロシア ヴェリーキー・ノヴゴロドの木造教会  Veliky Novgorod RUSSIA

いま手元に 《 The Wooden Architecture of Rossia 》 という、20年以上前に購入した本があります。ロシアの木造建築を論じている本です、このての本としては最初期のものでしょう。
スタジオヤマは、そのなかでも教会建築の美しさに心惹かれました。
そしていつか実物を観てみたいと思うようになりました。でどこに行けば観れるのか、広大なロシアにおいて地方の木造教会を、ひとつづつ訪ねるのはあまり現実的ではありません、集中的に観れる場所を探しました。それが今回ブログするヴェリーキー・ノヴゴロド(Veliky Novgorod)にあるヴィトスラーヴリツィ木造建築博物館と、次回ブログするキージ島(Kizhi Pogost)です。
ロシアの木造建築の特徴は、丸太(丸太の両面を落とした太鼓型や角材の場合もあります)を一定の長さにカットしたログ材に、ノッチ(欠きこみ)入れて交差させながら水平に積み上げて、壁面をつくっていく構法で造られています、ようするにログハウスです。
構法上の制約から平面は、シンプルな方形になります。またログ材が室内側に露出します。
屋根は、耐久性を高めるためを斧(おの)や鉈(なた)で、木材を繊維方向に引き割った杮(こけら)、または屋根の片流れ分の長さがある板材で葺かれています。さらに教会建築の場合には、最頂部にロシア正教独特の十字架を乗せた玉ねぎ型のドームが鎮座しています。
また外観を仔細に見ると、窓や出入り口などの開口部廻りの木枠や建具および棟の破風などには、民芸調の美しい装飾が施されています。

ヴィトスラーヴリツィ木造建築博物館には、ノヴゴロド州各地から移築した、16世紀から20世紀初頭の木造建築22棟が集められています。その中から主な教会建築を取り上げてみました。

  聖母誕生教会
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  ウスペーニエ教会
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  聖ニコラ教会
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聖ニコラ教会 (前作と同名
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  聖ニコラ教会 (前作と同名)
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  聖ニコラ教会 (前作と同名)
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アム・シュタインホーフ教会とオットーワーグナー  ウィーンに中央ヨーロッパの世紀末建築を観る    Vienna AUSTRIA

中央ヨーロッパの代表的な都市ブタペスト(Budapest)、プラハ(Praha/Prague)、ウィーン(Wien/Vienna)の世紀末建築を観てきました。


前回に続いてオットー・ワーグナー(Otto Wagner 1841年-1918年)の作品をブログします。
スタジオヤマにとって、ウィーン郵便貯金局の空間を体験した印象と、アム・シュタインホーフ教会(Kirche am Steinhof)のそれとの違いが歴然と感じられます。根底に流れるものは同じなのでしょう、が二つの作品が一人の建築家の手になるとは思えないほど印象が異なります。
郵便貯金局は、現代に直結する近代の合理主義的な、デザイン・ヴォキャブラリが随所に見られます。
対してアム・シュタインホーフ教会は、装飾に重きを置く側に振れた時の作品なのでしょう。

アム・シュタインホーフ教会は、精神病院の付属教会として、ウィーン中心部からバスで30分ほど行った郊外の緑多い住宅地域に位置しています。
病棟の間の小道を歩いていくと、丘の上の方に特徴ある黄金のドームがみえてきます。
正面に立ち、玉座に座った2人の聖人と4体の天使像に迎え入れられるように、中に入るとそこは華麗な装飾を施された教会のホールです。ロココ調の装飾のための装飾とは性格を異にするワーグナー流の美意識が、隅々まで行き届いた素晴らしい内部空間が展開しています。
祭壇は、キリストを中心とした天国の様子が描かれた壁画が描かれています、この空間にふさわしい祭壇具が並びます。
祭壇の左右、東西の窓には聖書をモチーフにしたステンドグラスが嵌め込んであります。朝日と夕日、2度ホール内部を異なる光で包み込むという趣向です。
内装はゴールドが多用されています。実務に就いたばかりのころ、先輩から言われた「インテリアの色の取り合いにおいて、日本では金色に黒色を対比させるが、ヨーロッパのゴールドはホワイトがマッチングする」を思い起こしました。

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Kirche am Steinhof  Wien



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プロローグ

スタジオヤマ

Author:スタジオヤマ
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[時間][空間][写真]
[時間]とは歴史的な流れを
[空間]とは地球規模での拡がりを表しています。
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切り取る[写真]を通じ
自らの思慮を表現していきたいと思っています。
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一級建築士

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