具志川城 糸数城 石垣の曲線美を観る Okinawa JAPAN
沖縄県には、琉球国時代の城(沖縄本島ではグスクと発音し城という漢字を当てます)が200箇所以上遺されています。その中から保存状態が良好で特徴をよく表している城を、鑑賞の手引きとなるキーワードを添えてブログしたいと思います。



〈 石垣 〉 城(グスク)鑑賞4つのキーワード その4
琉球の城には、本土の城にある天守閣をはじめとする城郭建築が築城当初からありません、あったのは本土の城と比較すると小屋程度のスケールの建物です、首里城にみられる建築は、城郭のというより宮殿です。
ゆえに曲線を多用する石垣(いしがき)の美しさが、城の美しさそのものなのです。
石垣の石の積み方には、大きく分けて3種類あります。
自然石や切り出した石をそのまま積みあげた、野面積(のづらづみ)。表面を叩いて削り平たく加工し、石同士の接合面の隙間を減らしかつ隙間に詰石を打ち込みながら積み上げる、打込接(うちこみはぎ)。さらに手を加え、石を方形に加工し石と石との隙間を完全密着で積上げた、切込接(きりこみはぎ)とがあります。
グスクの石垣で使われている石の種類は、例外なくほとんど琉球石灰岩です。
この石は本土で多く使われている花崗岩や安山岩などのような強度がありません、大きな石が取れません。よって石垣を高く積めません、石垣の真上に建物を造るようなことはできません。が石自体ポーラスであるがゆえに石垣に独特の表情を持たせています、特に曲線と組み合わせた時その陰影の美しさが際立ちます。
《 具志川城 》
具志川城(ぐしかわグスク)は、沖縄本島南端の糸満市喜屋武(いとまんしきゃん)の海に突き出た断崖上に位置しています。13世紀ごろから築城が始まり、15世紀ごろには放棄されたと考えられています。
荒々しい断崖絶壁と海の対比の中にある野面積の石垣の美しさは、他の城にはない独特な風景を魅せてくれます。



《 糸数城 》
糸数城(いとかずグスク)は、沖縄本島南部の南城市玉城(なんじょうしたまぐすく)の丘陵に位置しています。14世紀前期の築城であろうと言われています。
夕方近く訪れました。平面的にも、断面的にも微妙な曲線をもつ野面積の石垣は、生きもののようであり、官能的ですらありました。
スタジオヤマはその圧倒的な存在にしばし我を忘れました。


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