古代ギリシア建築の精華 その4 Ancient Greek architecture
古代ギリシア建築の精華を5回にわたってブログしたいと思います。
4回目はオーダー(order)です。
オーダーとは、古代ギリシア建築における柱頭に代表されるデザイン様式の名称であり、同時に柱の径を基準とした建物全体にわたるプロポーションの体系を表しています。
オーダーは、古代ギリシア建築における美の規範です。
オーダーは、古代ギリシア建築における美の規範です。
よってこの理解無くしてギリシア建築の本質を理解できないと言っても過言ではありません。
古代ギリシア神殿を仔細に観ると、柱の直径を1単位(モドゥルス)とする、柱の高さ、柱間、そして神殿の高さ、幅、長さの間に、秩序だった比例関係を認められます。
例えば、柱底の直径×√5=柱軸の距離、柱軸の距離×√5=柱身の高さ、柱身の高さ×√5=主室の間口幅などなどです。
√5は、1:2の長方形の対角線の長さです、よって容易に幾何学的係数として図形化できます。
柱頭のデザインを決めているのもオーダーですが、建築意匠計画の全体をもコントロールしています、これがオーダー本来の役目です、
またオーダーは、建築の歴史のなかで何回もリバイバルしています、これからも記念碑的な建築を創るとき用いられるかもしれません。
ブログでは柱頭のデザインに注目し、成立した時代の順番に従い、代表的な3種類を取り上げその特徴を観てみましょう。 考古学博物館 Archaeological Museum コリントス Korinthos

《 ドーリック・オーダー Doric order ドリス式 》
ドーリック・オーダーの特徴を一言でいうと〈 簡潔 〉です。
柱は直接基壇の上に立っています。柱身は上部に向かうにしたがって細くなっていきます(エンタシス)。柱頭は、浅い鉢型のエキノスと正方形の板状のアバクスから構成されています。
ヘファイストス神殿 Temple of Hephaestus アテネ Athens
現存する神殿の遺跡の中で最も保存状態が良好です。
一時キリスト教の教会として使用されていました。

日本水準原点標庫 東京都千代田区永田町 設計:佐立七次郎 竣工:1891年(明治24年)
規模が小さいですが、ドーリック・オーダーを忠実に再現し、気品あるデザインにまとめています。エンタブラチュア(水平梁)に彫られた漢字と菊の御紋、違和感がありません。
《 イオニック・オーダー Ionic order イオニア式 》
イオニック・オーダーの特徴を一言でいうと〈 優雅 〉です。
特徴として、柱頭に二つの渦巻を組み合わせた装飾があります。
ディロス島 Dilos
住宅の中庭の列柱でしょう、当時はどんな雰囲気だったのでしょうか。
M2 東京都世田谷区砧 設計:隈研吾 竣工:1991年(平成3年)
現代建築に生き返ったオーダーの生命力に拍手です。
ちなみにこのビルの業態はマツダの店舗でした、今は葬儀屋さんです。
《 コリンシャン・オーダー Corinthian order コリント式 》
コリンシャン・オーダーの特徴を一言でいうと〈 華麗 〉です。
ヘレニズムからローマ帝国時代にかけて発展しました。
柱頭にアカンサスの葉の装飾が施されています。
ゼウス神殿 Temple of the Olympian Zeus アテネ Athens
ローマ帝国時代に創られた巨大な神殿です。
東京駅 東京都千代田区丸の内 駅舎設計:辰野金吾 竣工:1914年(大正3年)
東京駅6番線ホームに一対だけ遺された鋳鉄製の屋根を支える柱です。
スタジオヤマは、ホーム全体の屋根がこの柱を使用していた現役時代を見ています。
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