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台北  日本統治時代の建築 Architecture during the Japanese colonial era

 日本統治時代の朝鮮、台湾そして満州国の建築を5回シリーズでブログしたいと思います。
第2回は日本統治時代の台北(タイペイ)です。
 
日本統治時代の台湾とは、1985年、日清戦争の結果下関条約によって日本に割譲されたときから、1945年の太平洋戦争降伏による中華民国(台湾)に編入されたまでの40年間をいいます。
台湾の首都、台北(タイペイ)には、日本統治時代の建築が数多く残されています。スタジオヤマはその中から10作品を選びブログします。
これら作品群、あるものは当時の用途そのまま現役の建築として、またあるものは修復され博物館などとして生き永らえています。いずれの建築もメンテナンスがしっかりなされ大事に使われています。
この点が韓国の日本統治時代の建築に対する扱いとおおいに異なります。
理由として、当時の台湾は清朝の辺境であり未開の地に対し、韓国は弱体化したとはいえ国家が存在しソウルはその首都であった、韓国人にとっては「異民族支配」そのものであり、建築は「千年先まで消えぬ恨み」のシンボルであった、という説があります。
しかしこの説だけでは、台湾と同じような扱いを受けている旧満州国の建築を説明できません。スタジオヤマは、中国人の使えるものは使うという実利主義と、前の支配者の建築をすべて壊していたら都市の中に建築が無くなってしまう、という現実によるものだと思います。
 
〈 台湾に遺る日本統治時代の建築をさらに深く知るために 〉
片倉佳史さんの一連の著作をお勧めします。ヴォリュームの関係でこのブログに乗せなかった建築を含めて、ほぼ全ての現存する建築を網羅しています。
台北の書店ですごい本を見つけました。「日治台北城」です、日本統治時代の建築を写真ではなく、平面図、立面図、断面図などのイラストで紹介しています。イラスト作成には、建築的な調査・研究の裏付けが必要です。書店で平積みされていました、さすが親日的な国ですね。
 
 
《 台湾総督府 》
現:総統府 設計:長野宇平治/台湾総督府営繕課・森山松之助 竣工:1919年
日本で最初の設計競技により長野宇平治案が選ばれました。
創建時から現在もなお国の代表が執務している建築です。中央の塔の高さは60mあります、当時は高い建物がなかったため、台北市内どこからでも見えたそうです。
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《 台湾総督府高等法院 》
現:司法大廈 設計:台湾総督府営繕課・近藤十郎 竣工:1934年
ネオ・ロマネスク様式のファサードと中央の塔とのバランスが見せどころです。
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《 台北州庁舎 》
現:監察院 設計:台湾総督府営繕課・森山松之助 竣工:1915年
森山は辰野金吾(日本銀行本店設計者)の弟子です。レンガ壁の赤色に、花崗岩の白色帯を巡らせるいわゆる辰野スタイルがきまっています。
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《 台湾銀行本店 》
現:台湾銀行 設計:西村好時 竣工:1938年
バロック調の壮大な列柱が、建築の威厳を表現しています。
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《 台湾総督府博物館 》
現:台湾省立博物館 設計:台湾総督府営繕課 竣工:1915年
エントランス・ホールの吹抜け、天上のステンドグラス、それを支えるコリンシャン・オーダーの列柱が最大の見せ場です。
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《 台湾総督府専売局 》
現:台湾省煙酒公売局 設計:台湾総督府営繕課・米重三郎 竣工:1913年
ひとつのスタイルにとらわれない折衷様式と、辰野スタイルの取り合わせが、ファサードの華やかさを演出しています。
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《 台北帝国大学医学部付属病院 》
現:台湾大学医学院附設病院 設計:台湾総督府営繕課・近藤十郎 竣工:1916年
この建築も折衷様式と辰野スタイルでデザインされています。
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《 台北郵便局 》
現:台北郵政局 設計:台湾総督府営繕課・栗山俊一 竣工:1930年
中に入ると2層吹抜けのオフィス空間が拡がっています。
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《 台北公会堂 》
現:台北中山堂 設計:台湾総督府営繕課・井出薫 竣工1936年
東京、大阪、名古屋に続いて建てられた公共の公会堂です、当時台北で一番大きい建築でした。
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《 台湾総督府台北電話交換局 》
現:中華電信博愛路服務中心 設計:台湾総督府交通局・鈴置良一 竣工:1938年
アールが付いたコーナー部の扱い、水平ラインとシンプルな窓、斬新で現代建築に通ずるデザインが眼を引きます。4階はのちに増築されたものです。
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Tag:東アジア/東南アジア  Trackback:0 comment:0 

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