エジプト建築の精華 カイロでイスラーム建築を観た Egyptian Architecture of Cairo
エジプトの建築をひととおり観て楽しんできました。
エジプト建築の魅力や特徴などなどをブログしたいと思います。
第4回目は、カイロ歴史地区 〈 Islamic Cairo 〉 にあるイスラーム建築をブログします。
エジプトの古代王朝は徐々に衰退し、1世紀ごろにはローマ帝国の支配下にはいりました。
さらに時代が下り7世紀には、現代に続くイスラームの時代を迎えたのです。
カイロはその時代からアラブ世界および中東を代表する世界都市の一つであり、イスラーム世界の学術・文化・経済の中心都市であり続けました。
エジプトの建築といえばビラミッドや神殿など古代王朝の建築が注目されがちですが、カイロにおいては、イスラーム建築が質、量ともに圧倒しまさに 〈 イスラーム建築の宝庫 〉 なのです。
ブログする建築は遺跡ではありません、現代においても宗教施設として機能しています、また全てが世界遺産に登録されています。


《 スルタン・ハサン・モスク The Mosque of Sultan Hassan》 





《 イスラーム建築 きほんのき 》
イスラームとは、6世紀アラビア半島の商業都市マッカ(メッカ)に生まれたムハンマド(マホメット)が、7世紀に興した一神教です。
彼は預言者として唯一神アッラーの啓示を受けました、それを聖典としてまとめたのが、クルアーン(コーラン)です。すべてをアッラーにゆだねることを信仰告白した人が信者・ムスリム(モスレム)です。
モスク(マスジド)は、ムスリムの集団礼拝堂です。崇拝の対象ではありません。
モスクにアプローチしてみましょう。
外観上のシンボルである高い塔・ミナレットがまず目に入ります。逆に言えばミナレットがあれば、モスクあるいはイスラームの神学校・マドラサです。ミナレットの上からは、礼拝・サラートへの呼びかけ・アザーンが1日に5回ながされます。
モスクの空間的特徴を類型化すると、イスラームが始まったころからある、柱が林立するタイプ:イブン・トゥールーン・モスク。中庭を囲んで、イーワンという前面はオープン、三方が壁で囲まれていて、天井がアーチ状となっているホールがあるタイプ:スルタン・ハサン・モスク。ビザンチン建築を継承し、大ドームによりもたらされた無柱空間を持つタイプ:ムハンマド・アリ・モスクがあります。
カイロではすべてのタイプが観ることができる世界的にも稀有な都市なのです。
モスクの中に入ってみましょう。
イスラームでは、偶像崇拝を徹底的に排除しているため、ご神体のようなものはありません。
世界中のムスリムは、サウジアラビアのマッカにあるマスジド・ハラームのカアバ神殿の方向・キブラに向かって祈りを捧げます。正面にあるムスリムが向き合っている壁をキブラ壁といいます、サインの意味で壁の一部が窪んでいます・ミフラーブ。近くには階段がついた説教壇・ミンバルがあるのが通常です。
壁や天井を観てみると、純粋な幾何学的文様や植物や動物の形をモチーフにした文様・アラベスクで埋め尽くされています。またところどころには、クルアーンの一節が、アラビア語の装飾的で美しい書体・カリグラフィーで書かれています。
イスラーム建築の成り立ちを超完結に書いてみました、いかがでしょうか。
《 イブン・トゥルーン・モスク The Mosque of Ibn Tulun 》
カイロに現存する中では最古のモスクで9世紀後半に竣工しました。
中庭を柱が林立する回廊、礼拝空間が取り囲みます。外側にらせん階段がついた高さ40mのミナレットも他に例をみない独特の形状をしています。
神谷武夫の著書 〈 イスラーム建築 〉の中で世界のイスラーム建築の名作21選に選ばれました。
カイロに現存する中では最古のモスクで9世紀後半に竣工しました。
中庭を柱が林立する回廊、礼拝空間が取り囲みます。外側にらせん階段がついた高さ40mのミナレットも他に例をみない独特の形状をしています。
神谷武夫の著書 〈 イスラーム建築 〉の中で世界のイスラーム建築の名作21選に選ばれました。

《 スルタン・ハサン・モスク The Mosque of Sultan Hassan》
中庭を四つのイーワンが取り囲んでいます。当初はマドラサと利用されていました。


《 リファーイー・モスク The Mosque of el-Rifai 》
内部空間はさまざまなイスラームの建築スタイルが混在する折衷様式でデザインされました。

《 ムハンマド・アリ・モスク The Mosque of Muhammad Ali 》
シタデル(城塞)の中に建てられました。中に入ると、巨大な中央のドームを小さなドームが支える無柱の大空間とシャンデリアが壮麗な空間を演出しています。

《 アズラク・モスク (ブルーモスク) The Blue Mosque 》
キブラ壁は、トルコのイズニック産ブルータイルで飾られています。


《 サリーフ・タラアイー・モスク The Mosque of Salih Tala'i 》
コリンシャン・オーダーの柱とキブラ壁、取り合わせの妙です。

《 ズウェーラ門 Bab Zuwayla 》
カイロ歴史地区には門が三つ遺されています。そのなかで最も状態が良いです。ただしミナレットはムアイヤド・イッシェイフ・モスクのものとして建てられました。

《 ムアイヤド・イッシェイフ・モスク The Mosque El-Muayyad 》
中庭を回廊が取り囲み、中心には礼拝の前に身体を清める泉水が流れる泉亭があります。


《 アズハル・モスク The Mosque of el-Azhar 》
10世紀に創建され、エジプト国内で最も重要なモスクとされています。併設されたマドラサは、のちにイスラーム スンナ派の最高教育機関として、また現存する世界最古の大学の一つであるエズ・アズハル大学に発展しました。

《 ホセイン・モスク The Mosque of el-Hussein 》
ホセイン広場に面した大モスクです、中に入ると観光客はいません、宗教的な厳粛さを強くを感じました。

《 スルタン・パルスパイのマドラサ The Madrassa of el-Ashraf Barsbay 》
中庭に面して4つのイーワンがあります。周辺には香辛料の店が数多くあります。

《 スルタン・カラーウーンのマドラサ The Madrassa of Sultan Qalawun 》
《 スルタン・バルクークのマドラサ The Madrassa of Sultan Barquq 》
《 カーイトゥベーイ・モスク The Mosque of Sultan Qaitbey 》
カイロ歴史地区の東側には 〈 死者の町 〉 と呼ばれている高貴な方々の共同墓地があります。
モスクはこの地区にあります。その外観は、1エジプト・ポンド札に描かれています。

《 スルタン・バルクークのハーンカー The Khanqah of Sultan Farag Ibn Barquq 》
ハーンカーとは、イスラームにおける神秘主義者・スーフィーの修道場のことです。

《 スルタン・バルスバイのハーンカー The Khanqah of Sultan Ashraf Barsbey 》
木製のミンバルの脇で子供たちがお勉強していました、地域に密着した世界遺産なのでしょう。


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