クメール建築大全 その3 Khmer Architecture
カンボジア、タイ、ラオスにまたがり存在し、いまなお輝き、人々を魅了しづけるクメール建築を楽しんで頂きたいと思います。第3回目は、前回からの続きアンコール・トム周辺の寺院群です。
ひとくちメモ
人類は建築の進歩を追い続けてきました、現在でもそうです。
建築の進歩を計る尺度を、いくつかある中から2つあげましょう。
ひとつは外部空間の壮大さ特に高さにおいて、2つめはスパン(梁間)をとばして無柱で広い天井の高い内部空間を造ること、です。
これらを達成するには、構造、構法、材料などの技術的進歩が必要です。
クメール建築は、外部空間のすばらしさにたいして、内部空間の貧弱さは一目瞭然です。
なぜでしょうか。
クメール建築の構造材料は、主にラテライトと呼ばれる石材と焼成レンガです、この材料を一個一個少しづつずらしながら 〈迫出し構法〉 積み上げて 〈組積造〉 内部空間を造っていきます。この構法を採用する限り、無柱の大空間は生まれません。同時代のイスラム教建築やキリスト教建築が同じ組積造でありながら、アーチ構法の採用により無柱の壮大な内部空間を手中にしたのと対照的です。
そもそもクメール時代の宗教活動において、充実した内部区間を必要としなかったのかもしれません、研究者の成果を待ちましょう。
《 プレ・ループ Pre Rup 》
《 プラサット・バッチュム Prasat Bat Chum 》
入口階段の両側に立つ獅子像と破風のわずかな彫刻が遺っています。それでも全体のヴォリュムは十分に理解できます。

《 プラサット・クラヴァン Prasat Kravan 》
一つの基壇の上に5つの祠堂が載っています。中央の祠堂内部のレンガ壁にはヴィシュヌ神の3態、中央に8本腕のヴィシュヌ神、左側は3歩で世界をまたぐヴィシュヌ神、右側にガルーダに乗るヴィシュヌ神、が彫刻されています。
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《 スラ・スラン Sras Srang 》
王が沐浴するための池です。東西700m、南北300mの大きさです。

《 バンテアイ・クディ Banteay Kdei 》
2001年、上智大学アンコール遺跡国際調査団によって200体以上の仏頭が切り離された仏像と千体仏が刻まれた石柱が発見されました。寺院の宗旨の変遷が解る発見として注目されています。
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《 タ・プローム Ta Prohm 》
スポアン(ガジュマル)の根が遺跡を押しつぶそうとしています。この様子が魅力なのでしょうか、大変人気のある遺跡です。
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《 バクセイ・チャムクロン Baksei Chamkrong 》
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《 プノン・バケン Phnom Bakheng 》
クメールの大地が一望できるプノン・バケン山の頂上に建立されました。
はるか彼方にアンコール・ワットが観えます、ということはアンコール・ワットの方からもプノン・バケンを望むことができます。そういう相互関係なのです。
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《 西バライ West Baray 》
アンコール・トムを挟んで、東バライがあり西バライがあります、バライとは灌漑用貯水池のことです。西バライは現在も現役で使用されています。屋台なども出て、水泳場もありシュムリアップ市民の憩いの場となっています。

《 ワット・アトヴィア Wat Athvea 》
アンコール・ワットと同じく、西側からがメインアプローチの数少ない寺院です。

《 プノン・クロム Phnom Krom 》
トレンサップ湖を望む小さな山の頂上に建立されました。祠堂の外壁が崩壊していくというより、風化して溶けだしていくという印象を受けます。

《 ロレイ Lolei 》
ロリュオスとは、アンコール・トムに移る以前に王都があったところです。現在、主な遺跡としてロレイからブログする3つの寺院がロリュオス遺跡群として遺されています。
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《 プリア・コー Preah Ko 》
基壇の上に前に3つ後ろに3つの祠堂が並びます、このことにより祠堂群の中心性より正面性を強調しているのです。

《 バコン Bakong 》
ロリュオス遺跡群の中では最大規模を誇り、かつ完成度が最も高い寺院です。


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