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ロシア キージ島の木造教会   Kizhi Pogost RUSSIA

ロシアのキージ島は、フィンランドとの国境から200kmほど離れた北極圏に近いオネガ湖に浮かんでいます。長さ約7km、幅500mほどあり、まわりを島嶼で囲まれた細長い島です。
キージ島全体が、木造建築の特別保存地区に指定されています。島にもともとあった木造建築に加えて、各地の教会、礼拝所、農家、納屋、風車小屋など、ロシアの伝統的木造建築が移築され、「キージ島建築野外博物館」となっています。

キージ島の風土も、風景と一体となっている木造教会もたいへん気に入りました。
ただ一つ不満があるのは滞在時間が制限されていることです、キージ島に渡るにはペトロザヴォーツクから高速フェリーで行くしかありません(冬季はオネガ湖が氷結し運休します)、フェリーのチケットを購入すると帰りの便が指定されます、往復の時間を差し引くと正味4時間しか滞在できないのです。また島には宿泊施設がありません、交通機関もありません、スタジオヤマは最後の方は駆け足です。宝の山を眼の前にして去るようでまことに残念でした。
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キージ島にもともとあった三つの建築からなる木造教会群は、キージ島の華というべきでしょう。
プレオプラジェンスカヤ教会は18世紀に現在の姿に再建されました、22本の玉ねぎ型ドームと最上部には高さ37mのドームを持ち圧倒な存在感を誇示しています。
スタジオヤマが訪れたときは、何かの祝祭なのでしょう、聖職者と住民によるセレモニーが厳かに行われていました。また聖堂は修復工事中でした、内部にちらっと見える鉄骨の柱のようなものは仮設なのでしょうか、気になります。
9本の玉ねぎ型ドームを持つポクローフスカヤ教会は、プレオプラジェンスカヤ教会に隣接して半世紀後に再建されました。現役の教会です、聖堂内部のイコノスタシス(聖障)には、ロシア正教会特有のイコン(聖像)が描かれています、信者の方々が熱心に祈りを捧げていました。
さらに19世紀には鐘楼が建立され、ここに160年の歳月を掛けた建築群が完成しました。これらの建築はログ材(丸太)の接合に釘などの金属金物を用いず、ノッチ(欠きこみ)の組み合わせにより強度を確保し自立しています、まさに驚きです。
三つの木造教会群は、デザインの素晴らしさ、それを実現可能にした大工の木材加工技術、施工能力などの高さなど、まちがいなくロシア木造教会の最高傑作でしょう。
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キージ島に移築された教会を観てみましょう。
 ラーザリ復活教会  14世紀に建てられたロシア最古の木造教会建築
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 アルハンゲル・ミハイル礼拝堂
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 救世主礼拝堂
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 三主教礼拝堂

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ロシア ヴェリーキー・ノヴゴロドの木造教会  Veliky Novgorod RUSSIA

いま手元に 《 The Wooden Architecture of Rossia 》 という、20年以上前に購入した本があります。ロシアの木造建築を論じている本です、このての本としては最初期のものでしょう。
スタジオヤマは、そのなかでも教会建築の美しさに心惹かれました。
そしていつか実物を観てみたいと思うようになりました。でどこに行けば観れるのか、広大なロシアにおいて地方の木造教会を、ひとつづつ訪ねるのはあまり現実的ではありません、集中的に観れる場所を探しました。それが今回ブログするヴェリーキー・ノヴゴロド(Veliky Novgorod)にあるヴィトスラーヴリツィ木造建築博物館と、次回ブログするキージ島(Kizhi Pogost)です。

ロシアの木造建築の特徴は、丸太(丸太の両面を落とした太鼓型や角材の場合もあります)を一定の長さにカットしたログ材に、ノッチ(欠きこみ)入れて交差させながら水平に積み上げて、壁面をつくっていく構法で造られています、ようするにログハウスです。
構法上の制約から平面は、シンプルな方形になります。またログ材が室内側に露出します。
屋根は、耐久性を高めるためを斧(おの)や鉈(なた)で、木材を繊維方向に引き割った杮(こけら)、または屋根の片流れ分の長さがある板材で葺かれています。さらに教会建築の場合には、最頂部にロシア正教独特の十字架を乗せた玉ねぎ型のドームが鎮座しています。
また外観を仔細に見ると、窓や出入り口などの開口部廻りの木枠や建具および棟の破風などには、民芸調の美しい装飾が施されています。


ヴィトスラーヴリツィ木造建築博物館には、ノヴゴロド州各地から移築した、16世紀から20世紀初頭の木造建築22棟が集められています。その中から主な教会建築を取り上げてみました。

  聖母誕生教会
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  ウスペーニエ教会
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  聖ニコラ教会
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聖ニコラ教会 (前作と同名
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  聖ニコラ教会 (前作と同名)
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  聖ニコラ教会 (前作と同名)
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スタジオヤマ

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