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アム・シュタインホーフ教会とオットーワーグナー  ウィーンに中央ヨーロッパの世紀末建築を観る    Vienna AUSTRIA

中央ヨーロッパの代表的な都市ブタペスト(Budapest)、プラハ(Praha/Prague)、ウィーン(Wien/Vienna)の世紀末建築を観てきました。


前回に続いてオットー・ワーグナー(Otto Wagner 1841年-1918年)の作品をブログします。
スタジオヤマにとって、ウィーン郵便貯金局の空間を体験した印象と、アム・シュタインホーフ教会(Kirche am Steinhof)のそれとの違いが歴然と感じられます。根底に流れるものは同じなのでしょう、が二つの作品が一人の建築家の手になるとは思えないほど印象が異なります。
郵便貯金局は、現代に直結する近代の合理主義的な、デザイン・ヴォキャブラリが随所に見られます。
対してアム・シュタインホーフ教会は、装飾に重きを置く側に振れた時の作品なのでしょう。

アム・シュタインホーフ教会は、精神病院の付属教会として、ウィーン中心部からバスで30分ほど行った郊外の緑多い住宅地域に位置しています。
病棟の間の小道を歩いていくと、丘の上の方に特徴ある黄金のドームがみえてきます。
正面に立ち、玉座に座った2人の聖人と4体の天使像に迎え入れられるように、中に入るとそこは華麗な装飾を施された教会のホールです。ロココ調の装飾のための装飾とは性格を異にするワーグナー流の美意識が、隅々まで行き届いた素晴らしい内部空間が展開しています。
祭壇は、キリストを中心とした天国の様子が描かれた壁画が描かれています、この空間にふさわしい祭壇具が並びます。
祭壇の左右、東西の窓には聖書をモチーフにしたステンドグラスが嵌め込んであります。朝日と夕日、2度ホール内部を異なる光で包み込むという趣向です。
内装はゴールドが多用されています。実務に就いたばかりのころ、先輩から言われた「インテリアの色の取り合いにおいて、日本では金色に黒色を対比させるが、ヨーロッパのゴールドはホワイトがマッチングする」を思い起こしました。
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郵便貯金局とオットーワーグナー  ウィーンに中央ヨーロッパの世紀末建築を観る    Vienna AUSTRIA

ウィーンに世紀末建築を観る中央ヨーロッパの代表的な都市ブタペスト(Budapest)、プラハ(Praha/Prague)、ウィーン(Wien/Vienna)の世紀末建築を観てきました。

9回を数える《中央ヨーロッパの世紀末建築を観る》シリーズの最後を飾るに相応しい建築家として、オットー・ワーグナー(Otto Wagner 1841 - 1918年)に登場してもらいました。

オットー・ワーグナーの作品は、構想、完成度の高さ等々、総合的にみて世紀末建築の華であるといえましょう。 中央ヨーロッパを超えてヨーロッパ全体をみてもそう言えます。

スタジオヤマは、ウィーンおよびウィーン郊外の現存する作品をほぼ全て観ました。

その中で2つの作品に深い感銘を受けました。

一つは、ウィーン郵便貯金局(Postsparkasse)です。

もう一つは、アム・シュタインホーフ教会(Kirche am Steinhof)です、次回ブログします。


オットー・ワーグナーの作品は、古典様式建築から出発し、アール・ヌーヴォーの影響を受けた装飾重視の建築(マジョリカハウスなど)を経て、ウィーン郵便貯金局における近代主義が追い求めた機能性や合理性を重視する建築に到達しました。

古典主義から近代主義への脱皮を体現した建築家だといえましょう。

ウィーン郵便貯金局は、ウィーン中心部リンクの内側に位置しています。

前の広場から建築を見渡すと、仕上げ石材を鋲で固定し張りぼてであることを率直に表現した外壁(現代建築における石貼り壁は逆です、厚い石を積み重ねた石造建築に見えるようディテールに工夫を凝らしている使い方が一般的です)、装飾を排した単窓、そして屋上にはリングを持った女神などが、端正なファサードを構成していることを容易に理解できます。

階段状のエントランスホールを通り抜けると、そこは現在もカウンター業務が行われている営業ホールです。空間は、天井からガラスを透過したやわらかい拡散光で満たされています、鉄とガラスそしてアルミの饗宴です。

スタジオヤマはその空間に身をおいたとき、およそ100年前に建てられた歴史的建築である、という意味でのクラシック感を全く感じませんでした、現代に通じる時代を突き抜けた抽象的空間が眼の前にありました。

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ウィーンに中央ヨーロッパの世紀末建築を観る  Vienna AUSTRIA

中央ヨーロッパの代表的な都市ブタペスト(Budapest)、プラハ(Praha/Prague)、ウィーン(Wien/Vienna)の世紀末建築を観てきました。

唐突ですが大学のカリキュラムのお話をします。
スタジオヤマは工学系の建築学科を修了しました。カリキュラムの中に建築史という授業があります。それも日本建築史、西洋建築史、近代建築史の3講座ありました、意匠(デザイン)系の学生は必修でした。
おもしろいと思いませんか。
最新のテクノロジーを学ぶ学科に、歴史学の先生いるのですよ。同じ工学系の他の学科、例えば情報工学科に情報工学史などという講座は聞いたことがありません、趣味で学んでいる人がいるかもしれませんが。
なぜでしょう、理由は明快です。
建築は、いつの時代でも進行形の歴史的連続の成果として存在します。
建築の創作行為は、過去の建築から成功や失敗を学び、眼前の建築に創意工夫を施す、その繰り返しなのです。

現在活躍中の建築家が歴史を学ぶと同じように、世紀末の建築家もその時代に存在した古典様式建築を、範とするか反面教師とするかは別としてしっかりと観て学んでいます。
スタジオヤマは、そういう眼でウィーンの古典様式建築を再度観てみました。

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Stephansdom  Wien

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Rathaus  Wien


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Votivkirche  Wien

141214-06    Michaelerplatz  Wien

141214-07    Kunsthistorisches Museum  Wien

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Nationalbibliothek Prunksaal  Wien

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Staatsoper  Wien

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Peterskirche  Wien

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鉄とガラス 中央ヨーロッパの世紀末建築を観る  Budapest Prague Vienna

中央ヨーロッパの代表的な都市ブタペスト(Budapest)、プラハ(Praha/Prague)、ウィーン(Wien/Vienna)の世紀末建築を観てきました。


18世紀後半に起こった産業革命は、19世紀になるとさらに発展しました。
生産力の増大と急速な都市化にともなって教会、宮殿などの伝統的な建築とは異なる用途をもった建築、駅舎、商店、展示場、温室、事務所、パッサージュ(ガラス屋根のアーケード)などなどが、建築家と技術者の協同により続々と建設されました。
今までなかった用途の建築を造るマテリアルとして、産業革命の発展により大量生産が可能となった《鉄》と《ガラス》が採用されました。
「新しき酒は新しき革袋に盛れ」でしょうか。
鉄とガラスで創られた新しい用途の建築デザインは、伝統的な建築をモデルにしています。
が、決定的に違うのは《透明感》と《軽快感》を持ったデザインがなされていることです。
伝統的様式建築のマシッブで荘厳な空間から解放され、新しいマテリアル・新しい工法で創られた、現代に連なる建築が、この時代に誕生したのです。

  Nyugati Train Station     Budapest
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  Exhibition Grounds    Prague
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  Palmenhouse   Schloss Schonbrunn   Vienna
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スタジオヤマ

Author:スタジオヤマ
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[空間]とは地球規模での拡がりを表しています。
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自らの思慮を表現していきたいと思っています。
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一級建築士

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