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パタンのダルバール広場  カトマンドゥ盆地の広場考 その4   Kathmandu Valley NEPAR

カトマンドゥ盆地に三つあるダルバール広場の一つ、パタンのダルバール広場を観てみましょう。
ダルバール広場(王宮広場)は、南北に連なる通路状の広場を挟み、東側の王宮建築群と西側の寺院建築群が向かい合うかたちで配置されています。
東側には、ネパールの伝統的なネワール様式特有の装飾で飾られたスンダリ・チョーク、ムル・チョーク、ケシャブ・ナラヤン・チョークなどの王宮建築が連なっています。チョークとは本来王宮の中庭を示しますが、ここでは建物の名称として使用されています。
西側には、ネワール様式で建てられたハリ・シャンカル寺院、ジャガンナラヤン寺院、ビスワナート寺院などがあります。この広場の特徴として、インド建築の影響を強く受けた石造のシカラ様式の寺院、ナラシンハ寺院やクリシュナ寺院が、ネワール様式の寺院と混在していることです。
ダルバール広場のあちこちには、王やその家族が未来永劫に祈る姿を表した、手を拝むかたちで組んでいる像が、高い石柱の上で鎮座しています。スタジオヤマは、寺院群のなかでその石柱が広場のアイストップ的な役割をうまく果たしているなあと感心しました。
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バクタプルのダルバール広場  カトマンドゥ盆地の広場考 その3   Kathmandu Valley NEPAR

カトマンドゥ盆地に三つあるダルバール広場の一つ、バクタプルのダルバール広場を観てみましょう。

バクタプルは、カトマンドゥのにぎわいや喧騒に対し、田園地帯の小高い台地の上にある落ち着いた静かな街です、また「バドガオン」(信仰の街)とも呼ばれており、宗教的施設が街の各所にあります。

ダルバール広場(王宮広場)を取り囲む多くの建物は、1934年の大地震でほとんど崩壊しました、その後一部はドイツによって修復されましたが、いまだに基壇のみの寺院もあります。したがって建物密度が広場の大きさに比して低めなため、広々とした解放的な感じがします。
旧王宮の中にある、ナーガポカリとよばれる王の沐浴場は、ヒンドゥ教の神ナーガ(蛇)が廻りを囲み、さらに高く首を伸ばしているナーガが中を見下ろしています。
パシュパティナート寺院の大きく突き出した屋根を支える方杖(ほうづえ)には、神々と供にエロティックな像が彫られています。このような彫刻は、カトマンドゥ盆地で珍しいものではありません。
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ダルバール広場と通路でつながるトウマディ広場も素晴らしい。
広場正面には、カトマンドゥ盆地で最も高い高さ30mを誇るニャタポラ寺院があります。五層の大きな屋根を持つ寺院は、伝統的なネワール様式でデザインされています。基壇にはこの寺院を守護する各種の大きな石像が置かれています。
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カトマンドゥのダルバール広場  カトマンドゥ盆地の広場考 その2   Kathmandu Valley NEPAR

ダルバール広場(王宮広場)は、街中にあるチョーク (chowk) とよばれる広場と共通する要素が数多く見受けられます。いうなればダルバール広場とは、王宮に付属する広場に多くの宗教施設などが付加され、規模が大きくなり権威付された究極のネパール的広場と言ってもよいでしょう。
カトマンドゥ盆地に三つあるダルバール広場の一つ、カトマンドゥのダルバール広場を観てみましょう。
ダルバール広場(王宮広場)は、ハヌマン・ドカとよばれる王宮を中心に20数棟にもおよぶヒンドゥ教の寺院や各種の建築と、10箇所のチョーク(中庭)とで構成されています。ほとんどの建築は17世紀から18世紀にかけて建てられました、1934年の地震により大きな被害を受けましたがほぼ修復されました。
伝統的なネワール様式の建築が建ちならぶ豊かな景観は、訪れた人々を魅了してやみません、王宮の一部に白く塗られたネオクラシック調でこの広場にそぐわない部分があったとしてもです。
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カトマンドゥ盆地の伝統的な建築のスタイルは、盆地一帯に多く住んでいるネワール人にちなんでネワール様式とよばれています。その特徴を観てみましょう。
構造的には、木造の柱・梁・小屋組みと壁はレンガによる組積造とによる混構造です。したがって塔のように柱が前面に出てくる建築は一見木造にみえ、住居系の壁が主体の建築は組積造にみえます。このような未熟な混構造とアクロバット的なスケルトンは耐震性を著しく低くしています。
外観は、方杖(ほうづえ)に支えられた瓦葺の直線的な屋根と深い軒が幾重にも重なっています。
壁に穿たれた窓や出入り口などの開口部は、アーチの技術がないため、木造組立式のフレームによる補強をしています。フレームに独特な彫刻を施しそれがネワール様式の特徴の一つになっています。
生き神の住むクマリの館や、2階の窓からシヴァとその妻パルヴァティが町を見下ろしている木彫り像があるシヴァ・パルヴァティ寺院にその典型をみることができます。
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生活空間としてのチョ-ク  カトマンドゥ盆地の広場考 その1   Kathmandu Valley NEPAR

2015年4月25日にネパールを襲ったマグニチュード7.8の大地震は、多くの人命を奪い、建造物に甚大な被害をもたらしました。
被災された方々に心よりお見舞い申しあげます。
スタジオヤマがあえて震災前の写真を用いて〈 カトマンドゥ盆地の広場 〉 をブログするのは、ひとりでも多くの方がネパールという国、なかでもカトマンドゥ盆地という地域に関心を持っていただきたいと思うからです。ブログで紹介する写真のような姿を取り戻すには、長い時間と莫大な費用が必要でしょう。
スタジオヤマは、スタジオヤマにでもできることは何なのかを考え始めました。

ネパールのカトマンドゥ盆地には3つの主要都市、首都のカトマンドゥ、そしてかつての王都パタン、バクタプルがあります。各都市には旧王宮があります、そして王宮を含む多様な建築が集合化したダルバール広場 (Durbar Square) があります、ダルバールとはネパール語で「宮廷」という意味です。
さらに街中には、チョーク (chowk) とよばれる広場が数多く存在します。チョークとは歴史的には王宮や寺院などにある中庭を示します、現在では広場の意味で使用されている例が多いようです。
ネパールの広場を語るときこのチョークからスタートするのが順当でしょう。

カトマンドゥ旧市街の繁華な通りマカン・トールには、インドラ・チョークとそこから300mほど離れたところにアサン・チョークがあります、喧騒の中を歩いてみましょう。
チョークには必ずあるヒンドゥ教の寺院にお参りする人が鳴らす鐘の音が聞こえます。早朝には野菜などの食良品を並べたマーケットが開かれています。スパイス、お香、クルタスルワールなどの衣料品、ブランケット、布地、金属製の食器、靴などを扱う昔ながらの小さなお店が軒を連ねています。
この空間こそがカトマンドゥ盆地における広場の始原なのでしょう。
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郊外農村地帯のコカナ村にあるチョークにはまったりとした空気が流れています。
ダルマシャーラとよばれる休憩所に座って所在なさげにチョークを眺める人、屋外での作業に励む人、くつろぐ人、人間ばかりでなくガチョウもヤギも犬もいます。チョークは、軒を接して建てられた住宅に住む人々が共有する庭や作業場として機能しているのです。
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オアシス都市ジャイサルメール  Jaisalmer West INDIA

深夜、ジョウドプールを出発した寝台列車は、広大なタール沙漠を疾走し、沙漠のほぼ中心に位置するオアシス都市ジャイサルメール(Jaisalmer)に翌日早朝到着します。

かつてインドと西方を結ぶ交易の要所であったジャイサルメールは、海上交通の発展にともない寂れ、さらにパキスタンとの国境が閉鎖されるとタール沙漠のなかに取り残されてしまいました。それでも、800年以上続くラージプートの文化を伝承している街、としての輝きは失っていません。

三つの峰という意味を持つトリクータの丘に建設された要塞には、宮殿、寺院、住居などが混在し高密度な都市空間を形成しています
また要塞を取り囲むように発達した城下町には、当時の繁栄を物語るファサードを華麗に装飾された高層の大邸宅(ハヴェリー Haveli)が遺されています。

     
Fort and Palaces

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      Patwon-ki-Haveli
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プロローグ

スタジオヤマ

Author:スタジオヤマ
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[時間][空間][写真]
[時間]とは歴史的な流れを
[空間]とは地球規模での拡がりを表しています。
スタジオヤマは時空を自在に
切り取る[写真]を通じ
自らの思慮を表現していきたいと思っています。
応援をよろしくお願いします。
スタジオヤマ
studioyama
一級建築士

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