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東京の団地に住む  Tokyo JAPAN

東京人はどんなところに住んでいるのでしょうか。
そんな素朴な疑問にお答えします、第4回目は「団地に住む」です。

団地の語源は「一団の土地(敷地)」です。
第3回「長屋に住む」で一敷地一建物の原則をブログしました。また敷地は、用途や規模により異なりますが、建築基準法上最低でも2m以上道路に接していなければなりません。
この原則を、敷地の「接道義務」と言います。
一敷地一建物の原則と接道義務を厳格に適用すると、良好な環境の確保や、敷地の有効利用が図れない場合があります。このような場合「一団地申請」をして知事の認定を得れば、特例的に複数建築物が同一敷地内にあるものとみなして建築規制が適用されます。
例えば大学のキャンパスはどうでしょうか、管理棟、教室、体育館など複数の建物が点在しています。大規模工場でも建物名称は異なりますが状況は似ています。羽田空港には旅客ターミナルビルから整備施設まで数多くの建物があります。これらのケースでは全て一団地申請を行い、一つの敷地とみなされ個々の建物の接道義務が免除されているのです。
そして住居系ではいわゆる「団地」がそうなのです。


板橋区   Itabashi-ku  TOKYO

総戸数がおよそ10,000戸の高島平団地は、1972年に入居が開始されました。10,000戸の住民数でいえば一つの町を超えて、一つの市が新たに誕生した規模です。
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墨田区   Sumida-ku  TOKYO
白髭東アパートは、13階建ての高層住宅10棟を横につなぎ合わせ、長さ1.2kmにもなります。
都市火災時には防火壁としての役割を果たします。
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江東区   Koto-ku  TOKYO
東雲キャナルコートは、基本計画の段階から建築家が参加した総戸数およそ6,000戸の団地です。
よく考えられたデザインで、いわゆるデザイナーズマンションとなっています。
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新宿区  Shinjuku-ku TOKYO
トミヒサクロスは超高層集合住宅、低層集合住宅、店舗などの商業施設、そして店舗棟の屋上には戸建住宅が載っています。都市再開発によって生まれた建築です。

一見団地のようにみえますが、おそらく一つの建物でしょう。都市再開発の場合は一棟にして建築したほうが法律上の制約が有利になるケースが多いようです。

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東京の長屋に住む  Tokyo JAPAN

東京人はどんなところに住んでいるのでしょうか。
そんな素朴な疑問にお答えします、第3回目は「長屋に住む」です。
日本の建築基準法では一つの敷地に一つの建物しか原則建てられません。
一敷地一建物の原則と言われています。この規定の詳細は、用途上可分な建物(例えば住宅と住宅)はそれぞれ別々の敷地に建てなさい、用途上不可分な建物(例えば住宅と住宅に付属する車庫、物置など)は一つの敷地に建てることを認めます、ということです。
建築基準法的に長屋とは、各住戸間の界壁以外共有する部分がなく各住戸に外部から直接出入り出来る建築物、と規定しています。
不動産業界では、長屋というと落語に出てくるような建物をイメージされる方が多いので、タウンハウスあるいはテラスハウスのように呼ばれるのが一般的です。

親と子、2戸の住宅を一つの敷地に建てるとしましょう、このままでは2戸建ちません。
アイディアその1:2戸の住宅を渡り廊下でつなぐ、これで1戸の住宅です。
アイディアその2:住宅どおしをくっつける、住戸間の界壁を共用しています、長屋です。
アイディアその3:くっつけてかつ、廊下、階段などを共用します、共同住宅です。


墨田区  Sumida-ku TOKYO
現在の東京に落語に出てくるような長屋はありません。どうしても見たいという方は「東京江戸博物館」に再現されています。
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多摩ニュータウンは、東京都南部の多摩丘陵に位置し、多摩市を中心に稲城市、八王子市、町田市にまたがる日本最大規模のニュータウンです。1971年に入居が開始され、現在では人口20万人、8万世帯を超えるまでに発展してきました。
多摩ニュータウンの住宅開発において、戸数としてはわずかですが、公設の先駆的な計画として現代の長屋であるタウンハウスがいくつか実現しました。
しかしその後現在ではタウンハウスが計画されるのはまれになりました。理由として土地を潤沢に使用するがゆえ高層住宅に比べて高価になる、住環境は勝が独立性は戸建住宅より劣り木造建売住宅と競合する、など事業として成り立たないケースが多くなったからです。
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多摩市 その1  Tama City  TOKYO
1979年入居開始、日本の公設タウンハウス第1号です。当初の緑豊かな環境に住むという目的は達せられ、今では貫禄さえ漂います。
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多摩市 その2  Tama City  TOKYO

坂倉建築研究所がプロジュースしたタウンハウスです。
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多摩市 その3  Tama City  TOKYO
顔と顔を突き合わせて暮らす、濃密な空間を好きな人にはたまらないでしょう。
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東京の建売住宅に住む  Tokyo JAPAN

東京人はどんなところに住んでいるのでしょうか。
そんな素朴な疑問にお答えします、第2回目は「建売住宅に住む」です。

建売住宅は、土地と住宅がセットで販売されます、戸建住宅の一種です。
建売住宅を設計者の立場から言うと、住まい手の顔や要望がみえない状況で設計します、よって住まい手の要望が住宅に反映されているとしたら偶然の一致です、しかし出来あい品を購入するわけですから、眼に見える形で住宅を吟味しながら選択できるというメリットはあります。
それに対していわゆる戸建住宅は、住まい手の要望をできる限り盛り込んだ設計がなされます、建売住宅に対して注文住宅ともいわれる由縁です。
ところで建売住宅の金太郎あめファサードがおもしろいです、最初に見た時は吹き出すほどびっくりしました。しかしよくよく見ていると、「良いものは売れるのか」「売れるものは良いものなのか」のせめぎ合いの中で生まれた住宅群にある種の迫力を感じるのもまた真です。


東村山市   Higashimurayama City TOKYO
整列! その1

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練馬区   Nerima-ku TOKYO
整列! その2

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立川市   Tatikawa City TOKYO
整列! その3
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東京の戸建住宅に住む  Tokyo JAPAN

東京人はどんなところに住んでいるのでしょうか。

そんな素朴な疑問にお答えします、第1回目は「戸建住宅に住む」です。

 

世界的にみれば、東京のような大都市のなかに庭付き戸建住宅があるのはまれな存在です。
それも大富豪の邸宅ではなく、一般庶民の住宅がです。

現在の東京の戸建住宅群をみると、京都の町家にみられるような歴史的連続性がありません。
これと言った特徴がないのが特徴なのでしょうか、しかし子細にみると世界に一つしかない景観であることにまちがいありません。
スタジオヤマは、戸建住宅の建設現場をみると、中原中也(1907年-1937年)の詩「はるかぜ」を思い起こします。あの少々自虐的なフレーズを3回も繰り返す詩です。

はるかぜ
 
あゝ、家が建つ家が建つ。
  僕の家ではないけれど。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 


中央区  Chuo-ku TOKYO
一見長屋のようにみえますが、各戸の外壁が接するように建てられた戸建住宅です。銀座から地下鉄で2駅のところに、路地を挟んで戸建住宅が密集する街区があること自体驚きです。
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杉並区  Suginami-Ku TOKYO
中央線の車窓から撮りました。サラリーマンは毎日この風景を見ながら通勤しているのです、住民側からみれば毎日見られているのです。
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新宿区  Shinjuku-ku TOKYO
戸建住宅と高層ビルが混在しています。このような風景を見られるのは東京なればでしょう。

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具志川城 糸数城 石垣の曲線美を観る  Okinawa JAPAN

沖縄県には、琉球国時代の城(沖縄本島ではグスクと発音し城という漢字を当てます)が200箇所以上遺されています。その中から保存状態が良好で特徴をよく表している城を、鑑賞の手引きとなるキーワードを添えてブログしたいと思います。

〈 石垣 〉  城(グスク)鑑賞4つのキーワード その4
琉球の城には、本土の城にある天守閣をはじめとする城郭建築が築城当初からありません、あったのは本土の城と比較すると小屋程度のスケールの建物です、首里城にみられる建築は、城郭のというより宮殿です。
ゆえに曲線を多用する石垣(いしがき)の美しさが、城の美しさそのものなのです。
石垣の石の積み方には、大きく分けて3種類あります。
自然石や切り出した石をそのまま積みあげた、野面積(のづらづみ)。表面を叩いて削り平たく加工し、石同士の接合面の隙間を減らしかつ隙間に詰石を打ち込みながら積み上げる、打込接(うちこみはぎ)。さらに手を加え、石を方形に加工し石と石との隙間を完全密着で積上げた、切込接(きりこみはぎ)とがあります。
グスクの石垣で使われている石の種類は、例外なくほとんど琉球石灰岩です。
この石は本土で多く使われている花崗岩や安山岩などのような強度がありません、大きな石が取れません。よって石垣を高く積めません、石垣の真上に建物を造るようなことはできません。が石自体ポーラスであるがゆえに石垣に独特の表情を持たせています、特に曲線と組み合わせた時その陰影の美しさが際立ちます。


《 具志川城 》
具志川城(ぐしかわグスク)は、沖縄本島南端の糸満市喜屋武(いとまんしきゃん)の海に突き出た断崖上に位置しています。13世紀ごろから築城が始まり、15世紀ごろには放棄されたと考えられています。
荒々しい断崖絶壁と海の対比の中にある野面積の石垣の美しさは、他の城にはない独特な風景を魅せてくれます。
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《 糸数城 》
糸数城(いとかずグスク)は、沖縄本島南部の南城市玉城(なんじょうしたまぐすく)の丘陵に位置しています。14世紀前期の築城であろうと言われています。
夕方近く訪れました。平面的にも、断面的にも微妙な曲線をもつ野面積の石垣は、生きもののようであり、官能的ですらありました。
スタジオヤマはその圧倒的な存在にしばし我を忘れました。
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プロローグ

スタジオヤマ

Author:スタジオヤマ
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[時間][空間][写真]
[時間]とは歴史的な流れを
[空間]とは地球規模での拡がりを表しています。
スタジオヤマは時空を自在に
切り取る[写真]を通じ
自らの思慮を表現していきたいと思っています。
応援をよろしくお願いします。
スタジオヤマ
studioyama
一級建築士

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